1963年に建てられた湘南工科大学1号館の一角を改修したプロジェクト。情報工学科棟として利用されている建物の1F部分に、自由な発想と価値観を生み出すことのできるコミュニケーションの拠点としてオープンラボを新設した。ゼミスペース、プロジェクトスペース、ミーティングスペースなどのパブリックエリアと、リフレシュスペースやライブラリなどのプライベートエリアを配置する他、学科の顔となる展示スペースを備える。
改修に当たっては、「散策する研究活動」をコンセプトに、7つの小部屋と廊下からなっていた既存部分をひとつながりの空間として再編した。その中で目線の高さや仕上げを変化させることで場所の濃淡をつくり出し、それぞれの機能に対応した。プロジェクトスペースに設置した、立ったままでも使えるハイテーブルは今回に合せたオリジナル。歩きながらふと立ち寄って議論する、貴重な場所となっている。
ラボ正面は、玄関ホールから奥のグラウンドまで視線が抜けるように、全面ガラス張りとした。キャンパス計画として全体の繋がりを強化する取組みを始めたタイミングであったため、その先駆けとなることを意図した。小規模ながらも空間として実現することで、関係者がビジョンを共有する一助となったのではないかと思う。